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崩れるパウンドケーキの謎を解く

by inayamablog, 2013年10月9日

先生に教えてもらい、素材にこだわった伝統のパウンドケーキ。
味に自信ありというけれど、職員の顔はあまり冴えない。利用者に感想を聞くと、
「おいしいんだけど、フォークを刺すとポロポロ崩れるんです。」と返ってくる。

そんなパウンド、たいてい“不二家スコッチケーキ”の味がします。
伝統=レシピが古いのです。

不二家・・をお土産にいただいていたあの時代から早30余年?!
「材料の流通状況もだいぶ違うし、素材もレシピも変わりました(瀧本パティシエ)。」

ごめんなさい。

「伝統」と言いながら、商品研究をさぼってただけなんじゃないかしら。
なんか違うなあとひそかに思いながら、私たちプロじゃないし、という言い訳のもとで、
美味しい美味しいと自分たちに言い聞かせてきたケーキだったのではないかしら。

もう一つ最近の傾向。
「ネットでレシピを調べて商品を改良したり、新商品開発したりしています。」という職員。

ネットって?
「クックパッドです!」

確かにたくさんの“ちょっと面白い”レシピが手軽にゲットできる。
簡単に書いてあるので、これならできそうな気がする。

やってみる。
できる。
いちおう美味しい。
できた!

でも、クックパッドは、原則「おうちで手作り」のレシピ。
大量に作って、販売することを前提に作られたレシピではない。
原価計算なんてしていない。
それを安易に使ってしまうことに、違和感や心配はないのでしょうか?

アドバイザー派遣のもと、パティシエが入れば、材料の配合を変え、商品は確実に
よくなります。
今の市場にあった、ふんわり口どけの良いパウンドに生まれ変わります。

ただし、この改良に潜む「問題」を見過ごして帰ってはいけない、と思っています。

商品がおいしくなって「良かった」ということで終えてしまうと、今は新しいけれど、
やがて古くなるそのレシピを、「プロに教わった」「伝統の味」と言ってまた延々と
作り続けることになるのではないか・・と心配になるのです。

「お菓子を作る、改良する、売る」
の一連の流れが利用者の工賃に直結していると常に思うこと。

そのためには、支援員だろうとパート職員だろうと、関係なく、
「これ、変えたほうがいいんじゃない?と意見を出す勇気を持つこと。
そういう組織になること。

そのために、必要なのは、やっぱり、
「利用者の仕事、利用者の工賃に対する方針と目標を明確に持つこと」です。

支援職員としてのお菓子作りの視座、みたいな話。
きちんと伝わったかどうか確認しないと落ち着きません。

面倒くさいと思われるかもしれませんけれど。