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「高工賃」というポジション

by inayamablog, 2013年2月12日

工賃アップをテーマとするコンサルティング。

実は、「工賃をどう上げるか」を軸に、
事業所経営を含む全体を考える仕事だと思っています。
全国にB型事業所が増え、A型事業所も増え、雇用環境も変化する中で、
ますますその思いを強くしています。
福祉の世界に「競争」という概念は、「できれば入れたくない」という無意識の力も働いて、
これまであまり、取り沙汰されてきませんでした。
けれど、ここへきてそうも言っていられない状況が生まれています。

「工賃アップも重要だけど、利用者を増やさなければ事業所経営が安定しない。」
「利用者を増やせば、職員も増やせる。いや、職員を増やせば、利用者ももっと受け入れられる。卵が先かニワトリが先か、みたいだけど、私たちにとっては切実な問題です。」

「利用者」が簡単には集まらなくなっているのです。
障害者の数が減っているわけではありません。
雇用率2%を目前にして・・ということもあるでしょう。
受入れ先が増えたのも事実です。
うちに来ないだけで、どこかの事業所に利用者、家族の利用希望が殺到している、
ということもあります。
利用者が事業所を選ぶ時代になったということでしょう(まだ一部の話かもしれませんが。)
さて、そんな状況の中、どうやって利用者を確保するか、聞いてみると・・

・受入れ経験の少ない障害種別も積極的に受け入れる
・重度の方も積極的に受け入れる
・送迎サービスを拡充する
・給食を再開する(おいしくする)
・ハード面を改修する

いやいや、それも大事かもしれませんが、
利用者を増やすことが目的になってしまっては元も子もないのではないでしょうか。
限られた経営資源を、そこに注入してしまって、大丈夫ですか?

誤解を恐れず言います。
ここまで、「はたらくこと」を大切に支援してきたのなら、
「抜きん出た結果」で「事業所の個性」を示しましょう。

「高い工賃」は、他の事業所との違いを明確に打ち出す“差別化ポイント”になります。
“平均”程度の塊の中にいては、違いを打ち出せません。
周りと同じくらいだからまあいいか、と安心している場合ではないのです。
「利用者の働く喜び、仕事で得られる充実感」を大きく育てる支援ができると自負をお持ちなら、今一度「明確に高い工賃」を目標とし、アクションを起こすべきだと思います。

目指すポジションは「高品質の支援×高い工賃」です。
工賃アップに取り組むと支援の手が回らなくなる・・
違います。
両方高いところにポジションを置いてください。
そういう事業所が近くにあることを、望んでいる人はたくさんといると思いますから。