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なるほど!農福連携

by inayamablog, 2015年12月17日

農福連携は、本当に工賃アップの切り札なのか?
「癒しの農業」ではなく、「儲かる農業」を実現するポイントは何か?
福連携と聞くたびに、さまざまなレベル感で「農業」を生産活動に
組み込もうとしている事業所が浮かび、正直、モヤモヤしていました。

農福連携の成功事例は、億単位の投資をしているイメージがありました。
そうではなく、「地域の農家に声をかけられて畑を借りた」事業所も、
「草取りや収穫の手伝い」を施設外就労で始めた事業所も、
この先、“農業に力を入れて”工賃を上げられるの?
設備投資して六次化、このままやっちゃっていいの?

農福連携といえば、JA共済総研の濱田さん。
お訪ねして、聞いてきました。

根掘り葉掘り、いろいろ聞いてわかったこと。
1.現段階の農福連携は、まだ「啓発」段階。
農業、福祉、一般の人たちに、「実例から可能性を感じてもらうこと」が
大事だということで、各地の先進事例を紹介している。
すごい事例ばかり目にするけれど、まずは、農業者にインパクトある情報を
提供して、興味を持ってもらうことが重要。

2.広大な敷地や立派な設備がなくても農業はできる。
先進事例とは言われなくても、地道に技術を習得し、
農業者として成果をあげている事業所は増えている。
素人でも、農業改良普及員、営農指導員など地元のプロに指導を
受ければ、立派な生産者になれる。

3.自ら営業する覚悟なく、農業をやるなということ。
「農福連携」等の施策により、設備への補助や技術指導のサポートがあると
しても、最終的には自ら売場を開拓しなければならない。物流コストを
考えると、地元で売るのがやっぱり効率的。大都市での販売イベントは
普及啓発、展示会、利用者の意欲アップ目的では活用できるけれど、
継続的な売場は地元中心に確保する。

4.農業で施設外就労をやるなら、繁閑時期の異なる複数の現場を
コーディネートする。
仕事があるときだけ出て行くのでは、うまく回らない。農家との信頼関係を
築ければ、加工作業などに作業の幅は広がる。

農業をやっている事業所の悩みとして
・品質が上げられない。
・収穫量が増やせない。
・繁閑の差があって困る。
・販路が増やせない。

など、農業特有の難しさがあるのかなと思っていました。

でも、そんなことはなさそうです。
10人に月3万円の工賃を出すくらいの売上を農業で。
年間360万円の粗利益は、兼業農家の水準とそう変わらない。

「農業特有」の事情。ひとつありました。
農林業センサスによると、
農業従事者の4分の3(74.1%)は60歳以上、
約4分の1(24.3%)は、75歳以上だということ。

本気で農業は人手に困っている。
このままだと日本の農業の未来はない。
だから、農福連携は農業界の希望であり、福祉業界のチャンスである。

でもね、と思って最後に濱田さんに聞きました。
農業やっている方たち、本当に福祉と組みたいと思ってるんでしょうか?

「今はまだ信用されてないと思う。実績もないし、知らないし。」
「でも、実力を知ったらどんどん距離は縮まる。成果が数字で見えるから。」

大分すっきりしました。
農業で利用者の仕事をつくり、工賃を上げること。
可能性は大いにある。
ただし、「無理せず、やれる範囲で」の農業では、誰もhappyになれない。

やるなら、日本の農業の後継者になるつもりでやる。
そこから道は開ける、ということ。
すっきりしました。