個性豊かな“アーティスト”たちのアトリエ空間、
福岡県博多市にあるNPO法人まる 工房まるを訪ねてきました。
住宅街に佇む、古民家を改装して作られたB型事業所です。
今にも動きだしそうな、躍動感のある作品が事業所内に広がっています。
ここでは、利用者(アーティスト)たちが、創作活動を通じて
工賃を稼ぎます。
作品(商品)を作り、売上(工賃)を稼ぐ。
そのためには「作品」を「商品」にする必要があります。
アートを商品として市場に送り出す仕組みが工房まるにはあります。
利用者の描いた絵を、「原画」として企業に売り込み、
「原画をデザインとして採用した企業の最終商品づくりをお手伝いする」
ことにより、工房まるのアートを「商品」に変えることに成功したのです。
こちらが作品の一部。
▲工房まる オリジナルカレンダー
▲遊び心もたくさん詰まったアート作品
▲原画がこんな商品に。(工房まる ホームページより)
商品のクオリティの高さは言うまでもありません。
自主製品としてのハガキ、Tシャツを作る事業所は多くあります。
ですが、「売場」「売り先」がなければ、
どんなに商品力が高くても売上は伸びていきません。
工房まるの成功の秘密は、2つ。
1.利用者の作品のすばらしさをPRする提案力
2.企業がその商品でどのくらい利益を生み出せるのかを
計画するために必要な数字の話がきちっとできること。
2の具体的な要素としては、
・取引価格交渉のための商品毎の原価の把握
・製造可能なロット数の把握
など。
これらがわかっていないと、円滑な取引ができません。
樋口氏は、上記を「食料品や雑貨を製造する事業所」が抑えて
おくべき基本事項である、と話します。
かつて、工房まるは、企業に企画提案した商品を、作って納品する
という仕事をしていました。
よく売れたので、店からの発注が途切れることななく、
同じものをひたすら作る日々でした。
ある日、利用者から言われます。
「もう飽きた。」
そりゃそうだ、と思い、一念発起。
試行錯誤しながら、企業に提案・営業し、今のスタイルを築きました。
「やりたいこと」「得意なこと」を「市場に求められること」に
つなげる役目を樋口氏はじめ、職員の皆さんがやった結果、
利用者のアート商品を市場に送り出す仕組みが作られていったのです。
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