Mobile Menu

夜明け前のレタス

by inayamablog, 2016年7月31日

最近流れているセブンイレブンのコマーシャルが
気になります。「サンドイッチがますます美味しくなった」というCMです。 

“夜明け前に収穫したレタス”を低温で管理し、シャキシャキの
部分だけをたっぷりはさんだ・・というその数秒のナレーションが
どうにも耳に残って離れないのです。 

そうなんだ。収穫作業は夜明け前。
朝どり野菜とはそういうものなのね。
暑い夏、農作業は早朝に集中的にやるものだと
農家の人にも聞きました。
「朝どり」とは、夜明け前に作業所wをスタートするということでした。 

連想したのは農福連携のこと。
事業所の農業に、「夜明け前の収穫」はあるのでしょうか?
早朝からやれる利用者がどのくらいいるのでしょうか?
利用者の問題以上に、体制的に「やる」と決めて取り組んでいる
事業所はどのくらいあるのでしょうか?

 施設外就労で農業や草刈りをやっているというある事業所では、
夏は、施設に一度集まる時間も惜しみ、
利用者は現場に近い拠点に集合し、そこから職員の運転する車に
乗って現地に向かうのだそう。
「直行」ですね。

でもこういう事業所はそう多くないのではないかと思います。

どんな仕事も同じかもしれないけれど、
繁閑の差なく、規則正しく、適量の仕事が都合よく回る仕事ばかりではない。
お客様の満足、品質の追求、生産効率・・
いろいろ考えると、必要な「ちょっとの無理」は生じるもの。 

働く人の安全や健康や安定した生活は守らなければいけないし、
利用者の希望やニーズ、必要な支援を忘れては本末転倒になりかねない。
けれど、「どの部分は頑張れるか、頑張る必要があるか」をよくよく考え、
できる努力はしたほうが、結果的に充実した仕事と大きな成果を
生むことになるのだろうと思います。
見極めが難しいけれど、あきらめずに取り組みたい。 

夜明け前のレタスは、低温管理でその日のうちに加工され、
250円のサンドイッチになって、セブンイレブンの店頭に並びます。
私たちは、そういう企業と同じ街で、同じ消費者を相手に、
農業に取り組み、パンを製造し、店を経営しています。

 農福連携というなら、自然に癒されるという視点以上に
自然を相手に、生き物に向き合う覚悟がいるということです。

夏、こんなにいっぱい頑張ってもらうんだから、
冬はのんびりしてもらいたいと思うんですよね。
「草刈り部隊」の利用者に対し、心からのねぎらいの
気持ちを込めて施設長が言います。
「結局 みんなよく働くので1年中 忙しいんですけれどね。」

「あー忙しい!あー疲れた!」
そんな利用者の声が聞こえる事業所があってもいいと思います。

 「夜明け前のレタス」から思いをめぐらす
事業所の仕事のことでした。