東京世田谷区では、ライオンズクラブの会報誌を
月1回封入・発送する仕事を共同で行っています。
「今月は○日。希望する事業所は午前・午後の希望とともに
事務局に連絡ください。」
毎月10カ所前後、利用者20人ほど集まって、
35,000部の会報誌を手際よく封入していきます。
時給1,000円の仕事として提供しており、
参加事業所にも利用者にも評判の良い仕事。
工賃にも好影響を与えていることはもちろんなのですが、
現場を見せてもらって、
ここの「共働」の面白さに気がつきました。
何事もなく、やっているけれど、同じテーブルに
2つ、3つの事業所の利用者と職員が混ざっています。
わからないことがあれば、他施設の職員や利用者に
聞いたり、お互いに確認しながら作業しています。
もちろん、障害種別もバラバラ。
「部数を数える」という工程があるので、
精神障害の方がやや多いようですが、
知的障害の方も、できる工程を受け持って、
集中力を発揮して作業を進めています。
時折、声の出る方もいるし、歩き回っている人もいます。
でも、みな平然と作業を続けています。
なんかいい雰囲気。
10カ所、20名の顔ぶれは毎回異なるとのこと。
だから毎回、編成チームは異なり、毎回新たな
出会いや小さな変化が起こっています。
資材の到着が遅れて、作業時間が短くなったり、
台風接近で予定の事業所が来なかったり、
冷や冷やすることもたくさんあるけれど、
でも、なぜかちゃんと終わるんだよね~。
7年の経験からか、事務局も余裕の笑顔です。
工賃向上に寄与する仕事であることは間違い
ないのだけれど、ここに参加する目的はそれだけでも
ない様子。
一般就労を目指してほしい人を連れてきて、
いつもと異なる環境下の仕事を経験してもらったり、
働く意欲を高めてもらいたいと思う人に
他の事業所の利用者の仕事ぶりをみてもらったり。
時給1000円にふさわしい戦力として
利用者を出す事業所では、この仕事に出られることは、
誇りです。
適度な緊張感と一体感のある職場が利用者に刺激を与えています。
午前担当の人はお昼で終了。
ほっとした顔で、感想を述べあって解散です。
「お疲れ様でした」
「じゃあ、またね」
特別支援学校時代の同級生とここで再会した人もいます。
商店街でごはんを食べて帰るのが楽しみな人もいます。
共同受注センターがあっても、実際に「共働」している事例は
あまりないのではないでしょうか。
地域の利用者が仕事で出会う場があること。
バザーでテントを隣にするのとは違う次元で
交流が生まれます。
共働の経験が、何かの折に生きるのではないかと思います。