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“リタイア組”の利用者が教えてくれる仕事の意義・重み

by inayamablog, 2016年11月6日

「工賃3万円を1日も早く達成したい。」
繰り返しおっしゃる施設長の話を
いつも、そうですねと聞いていました。
でも、ふとした会話の中で、
「いますぐにでも」の理由が明らかになりました。

 B型、生活介護、あわせて60人。
そのうち、一般就労から戻ってきた方が20人。
3分の1の利用者が、ここに来る前には
少なくとも10万円以上のお給料をもらって
働いていた方たちだったのです。 

1950年代の設立以来、60年にわたって、
障害者の就労を支えてきた法人です。
就労移行とかB型とかいうずっと以前から、
一般就労も施設での就労も、そして安定した
通勤を支える暮らしの部分も、サポートしてきた法人です。

気づけば、企業をリタイアして
次の働くステージとして、B型を選んで
戻ってくる方たちが年々増えるという状況に
なっていました。 

10数万円→2万円への減額じゃ、モチベーションが
上がらないのはあたりまえ。申し訳ない。せめて
全員に3万円払える職場にしたい。」
本当にそう思うから、気持ちは焦ります。
だから「1日も早く」なのです。

年をとっていても、仕事に対する意欲はものすごく高い。
体力はないかもしれないけれど、要領がいいので、
生産性はとても高い。
特別支援学校を卒業して入ってきた若い利用者には、
良いお手本になっている。
低工賃でいい理由はどこにもありません。

最年長の方は70歳をすぎています。
20人の中には、生活介護の方も含まれますが、
年齢や障害程度は問題ではありません。 

工賃アップを考えるとき、
「近い将来、企業から戻ってくる方たちを
高工賃で迎える環境を整えておきたいじゃないですか」と
言っていました。
でも、近い将来ではありませんでした。
すでに現実のことでした。
待ったなしです。 

現役時代にたくさん貯めたから、工賃は安くても
いいという人もいるそうですが、
ほとんどの方は独立して寮やグループホーム暮らしです。
お金があって困ることはありません。 

お金だけの問題でなく、リタイア組の皆さんは
「やりがいのある仕事」を強く求めます。
仕事の楽しさも厳しさも知っているからでしょう。
責任の重さが充実につながっていることを、身をもって
体験しているからでしょう。 

1日も早く3万円!
きっとできます。
強い思いをもって、利用者・職員が
一丸となって頑張っているのですから。