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市価より安い

by inayamablog, 2017年2月9日

東京都の福祉トライアルショップ「KURUMIRU」が
日経新聞で紹介されました。
地域版ながら、写真入りの詳細な記事です。
行ってみたくなるような紹介で、
まもなくオープンする2号店、3号店への期待も高まります。

ただ、ひとつだけ気になる文が・・。
「値段は福祉作業所が決めるため、
市価より割安になっている。」

値段は作業所が決める=委託販売です。その通りです。
市価より割安になっている=多くの商品がそう見えます。
なのですが、前後をつなぐ「作業所が決めるため、割安」
という一文を読み流せませんでした。

商品価値的に市場と同等、またそれ以上であるのに割安なのは、
・流通のマージンがかかっていないので、市価より安く提供できる。
・設備や家賃などの間接コストを商品価格にのせずに販売できる。
からであり、

商品的に割安な設定する理由があるとすれば
・安定供給できない(次にいつ入荷するかわからない)。
・市場のトレンドからは遅れているかもしれない。
・在庫は抱えたくない生産者側(作業所)の事情で、
セールではないけれど、実はお得感を打ち出している。
といったところが、一般の消費者への説明としては
良いのではないかと思ったのです。

ですが、「作業所が決めるため、割安」と記者の方は書きました。

これは何を意味しているのでしょう?
深読みと言われても、この仕事をしている身ですから、
いろいろ考えてしまいました。

・日頃からバザーなどで慣習的に安く売っている。
・福祉なので、儲けない誠実な価格にしている。
・商品価値的に、市価同等の値づけをする自信がない。
(サイズや素材やデザインなどの点で。)

誤解を恐れずに言えば、「割安感が魅力」の商品もあります。
同じようなものを駅ビルの雑貨屋さんで買ったら、もっと高いと
いうことをお客様は知っています。
逆にいうと、この値段でなければ買わないかも、という評価を
お客様はしているということです。
「あら、安い。ここがこうならもっといいんだけど、
この値段なら買ってもいいわ。」というお客様の心の声が聞こえます。

でも、あと1~2割高くしても売れるだろうなと思う品も
KURUMIRUにはたくさん並んでいます。
お客様がここまでなら出してもいいというギリギリの
値づけができると、工賃にもよりインパクトを与える
成果が生まれるということですから、
チャレンジしてみてもいいのかなあと思います。

雑貨という福祉バザーでお菓子と並べて売っても売りにくい
商品の常設店ができたこと。
福祉に関係なく来店されるお客様と接点が持てること。
トライする場ができたこと。

だからこそ、商品も価格も、“攻め”てみたいですね。

そしてこれまた、勝手な妄想ですが、
今後、この福祉トライアルショップで評価が高まり、
百貨店やセレクトショップに出荷できるようになったら、
ここは「工房直送のアウトレット」として、
「市価より安く、良いものが買えるお店」とお客様に認知
され、いつも賑わっている場所になったらいいなとも思いました。